なぜ「360°評価」を敢えて行わないのか
私たちTNCでは、「360°評価」を実施することに対する課題をあるものとして、実施をお勧めしておりません。代表的な課題には「上司、部下の関係」における評価が指示命令を歪めてしまう危険性や「取引先満足度調査と協力会社からの評価」に対する、交渉過程での躊躇が発生する等の弊害を感じています。
近年は、取引先や私的関係(例 家族)からの評価は対象にしない修正も行われ、既に360°評価とは言えず、360°評価の意味を「人が多様な面を持つ360度からの俯瞰、観察」(360°フィードバックに改称)という定義に変わりつつあります(導入初期にあった本来の意味から修正させている理論であることに注意が必要)
導入から時間を経て、修正や停止をしている企業も多く、「客観性の担保」においては、360°評価から「人づくり会議」という場を私たちではお勧めしています。
このような「セミオープンな議論の場」での発言や評価の吟味でなければ、むしろ、お互いの不信感が生まれてしまう恐れもあります。これでは本末転倒なのです。
また、多様な角度からの「上司が気づけない」点を指摘し合う目的に導入されている企業の中でも、主観による評価の歪みが噴出して、むしろ「平均的な従業員」を育成するのには望ましい仕組みとしても、時代背景にある「多様な人材」「多様性を認める組織」では運用が難しい点があります。匿名性で行ってしまっては不安を助長させてしまいます。
特に、中小企業においては、十分な中間管理職を養成できておらず、それら評価に晒されることを嫌い、管理職への任命を忌避する傾向もあります。十分な話し合いは「人づくり会議」で議論するため、重複する点からも360°評価には「時間が掛かり過ぎる」というのが私たちの主張でもあります。