「働く幸せ」を感じていますか。働くことで幸せになると思われますか。
働くことに精を出してもらうこと、集中して働いてもらうこと、そして業績を向上させたいということは、経営者共通の思いです。適正な人事配置や人事マネジメントを実行できる人事業務よりは、経営戦略を実行する中で、企業業績を向上させ「働いて幸せになることが実現できる」実感を持った従業員が輩出されていく、働くことで幸福を実感する一方で、それらを実現するために何が必要なのでしょうか。
「公平で透明性があり、納得感のある人事評価の実施は、企業を安定し成長させる」
確かに、人事評価活動が企業活動を安定させることはわかっているが、多くの経営者は「わが社では人事評価活動は未だ不要であろう」と考えています。
この考えの根底には「いずれ業績が安定したら人事評価をきちんと実施したい」という願望もあると思われます。
果たして、業績が安定したら人事評価を導入するというプロセスは、正しいのでしょうか。
私たちTNCでは、「人事評価活動に臆せず、従業員との信頼関係構築に、ひとつずつ導入する」ことをお勧めしています。
どんな小さな会社でも、そしてどんなに少人数でも、導入していくことで、その変化は組織化の基盤となります。
人事マネジメントを科学的にすることは過去にも試みられてきました。その結果、多くのマネジメント業務が定着し「働きやすい職場」へと成長してきました。
ただ、「科学的人事」といったことではなく、労務管理の効率化を目指すための人事総務業務の軽減を優先し、見える化ということを果たして科学的人事戦略の本質とは本講では思っておりません。人事担当者その他の負担を軽減するのは、業績を向上させる人財が育った中で実現することでしよう。
×業績の安定→人事評価活動の導入→労務管理の効率化
○人事評価活動の導入→業績の安定→労務管理の効率化
もうひとつ、評価活動の結果を、どのように活かし、そして、どこまで公開すべきか不安であるという声もあります。いきなり、評価結果を慣れていない従業員らへフィードバックし、そして行動変容を迫るのは得策ではありません。
行動変容
5つのプロセスを経て、行動が変わることを意味します。
一般的には無関心期→関心期→準備期(予兆)→実施期(実行)→安定期(維持)となります。
私たちTNCでは、人事権および評価内容の吟味は、経営権を有する経営者および管理職の専権事項と理解しています。そのため、公平性という建前で「評価結果をすぐに公開する」ことを禁じています。安易な評価結果の公開だけで、正しい理解をする従業員は、それほど多くないのです。
専権事項
限られた人物や組織の裁量によってのみ、判断や決定を下せる物事のこと。
但し、国や行政における専権は認められていない。また多くは濫用しないように努める。
むしろ、従業員との信頼関係は人事評価活動の中で構築するのではなく、経営方針発表を通じ、経営者が従業員から信用を得る努力が前提となり、実施された人事評価内容を公開したからといっても、逆に、それら疑いは深まることもあります。
戦略的人事という言葉を御存じですか?
流行の言葉ではありますが、中小企業に至っては、戦略的人事よりも「経営戦略を実行できる人財化」のほうが急がれています。
専権事項≒勝手なふるまい、思いのままにできる、からと言って、
人事評価を一方的な行い、それらに納得感が乏しい中では、
信頼関係は醸成できない。
*「戦略的人事」戦略には、現行システムは未対応です。
また、従業員個人としての有用性は「優秀な人材とは違う理由」があり、特に中小企業では厳格に否定しています。優秀な人材と定義するためには、保有する能力の見える化として、タレントマネジメントが2000年頃から欧米で流行しました。
社員のスキルや経験値をデータ化して管理するのがタレントマネジメントの特徴ですが、中小企業において適切な人材配置を可能にすることよりは、社員の能力を明確に可視化することに、必ずしもIT化、DX導入により達成さなければならないと錯覚しないでください。
「○○さんは頑張っている」と報告を受けて、「○○さんっていうのは誰だ?」といった愚問が繰り返される中で、タレントマネジメントが成立することはありません。顔が浮かばないならば会いにいく、
リアルを大切にする経営者こそ、人事評価活動の在り方を見直してもらいたいのです。
企業における「有用性」とは
×優秀な能力を保有している様
○その人物による「役に立つ」事実に基づく様
有用性:人や物などにとって、役に立つこと、又はその様子、性質を表す
有効性:ある程度の効果があるか、たまは期待できることがある
実用性:役に立つ、またはその様子がある
つまり、「その人がいなければ困る」「役に立つ」状態は、ある種の存在感であるものの、必ずしも「優秀な人材である」必要はなく、事実を確認し観察するといった評価活動で気づき、それらを
タレント(才能、能力)と区別する必要があります。
そのため潜在的なポテンシャル(潜在能力や可能性、将来性という意味)では評価しません。
可視化するシステムには、それら矛盾点もあります。「事実ベース」で評価し、それら支援を基に
成長する人を高評価していきます。
タレントマネジメントとは、スキル・経験値を一元的に管理し組織成長や
業務効率化に反映させるプロセスを指す。
人事評価とは、例として「国家公務員法第18条の2第1項では「任用、給与、分限その他の人事管理の基礎とするために、職員がその職務を遂行するに当たり発揮した能力及び挙げた業績を把握した上で行われる勤務成績の評価」とあります。
異動シミュレーションは「紙」で十分です
組織図を自動に組成せず、面談を通じて、意思を確認することを大切にしています。
組織構成を変更する余地が少ない中小企業であれば、異動シミュレーションは
「絵に書いた餅」になってしまいがち。
プロジェクト管理もシステムで行う必要がない組織の場合、これら機能は
オーバースペックと成り兼ねないため、当初から省略しています。
人事評価活動とは、年に2回程度行う評価面談だけでなく、日頃の定期的な面談を実施し、アドバイスをもらえる等といった丁寧にフィードバックを行い、そのフィードバックが共有できる関係があり、そのことで納得感が高まります。そのことがワークモチベーション、従業員エンゲージメントにも大きく関わってきます。
人事評価活動の意味は年2回程度の活動期間ではなく、継続的な取り組みを含む。
ワークモチベーション: 個人が目標に向けて自発的に頑張ろうとする意欲を意味する。
従業員エンゲージメント: 従業員が会社の方針に共感し、自発的に貢献したい意欲のこと。
働く中で与えられた役割や目標を達成するために自発的に頑張ろうとする意欲というワークモチベーションは自律型人材の要素でもあり、共に従業員の企業への信頼や企業に対する貢献意欲(従業員エンゲージメント)を下げないとも思われます。初めから、納得感があるように正確で妥当な評価が実現すると錯覚する傾向もあります。
やがて、評価期間を経て「なぜこの評価なのか」、「どうしたら、将来、評価が上がるのか」と自らの取り組みに関心を持ち、「結構、活躍をしたのに認めてもらえない」「なんで、あの人が高評価なのか」という同僚や上司・部下に対する不満にも向き合うことを大切にすべきです。
自律型人材とは、
○指示を待つだけでなく、自らの意思で考え能動的に業務を遂行できる人材
×自分自身の価値観や信条・意思に基づいて、何をすべきかを考え判断・行動して、業務を主体的に遂行していける人材
自律型人材を渇望する中で、その意味は拡大しているが、本来は「能動的」を指す。
納得感(条件がもっともなもの、当然であるとして理解できる感情)が根底にあります。
他人の評価を気にする従業員の多くは、自己肯定が低かったり、過剰な自信を持ったりといった歪な自己認識がある場合も多く、早期に是正を行うこと等、従業員それぞれにとって注目しているのは「自分の評価だけではない」という認識は企業側も持つべきです。
消極的な人材の特徴
1.物事を否定的に捉える、2.変化を恐れる、3.周囲に不満をもらす
一方で「ネガティブ社員」や「間違った積極性がある社員」も自己肯定感が低い、自信がない社員の特徴として挙げられます。幼少期からの成育環境も影響する。
私たちTNCでは、日本の中小企業向け人事評価活動の定義として「給与や権限その他の人事管理の基礎になる関係の構築を通じ、従業員とその関係者が職務を遂行し発揮された能力による業績および組織内での貢献、対象者の成長の推移を観察し、育成するため行われる勤務実態の評価」
としています。
このため、対象となる従業員本人と共に関係を有する小組織を主体として、職務遂行時の「能力」は当然ながら「組織内での貢献」「成長の推移」を観察ポイントに置いています。
これは、長期雇用を前提とした「育成」を目指すものであり、「従業員本人」だけの能力開発ではなく、組織全体への影響を「事実ベース」で評価することを意味しています。
また、「勤務実態の評価」として潜在的な能力をベースにせず、期間内に確認された行動を基に吟味することで、フィードバック面談時の育成ポイントとして「行動」を促すことに力点を置いています。
労務管理の効率化とは、入社・退社の手続き、社員情報の管理、就業規則の管理、
給料計算を効率化させ不正防止やミスを減らすことで効率化する。
クラウド型システムとは、利用者はインターネット環境さえあればどこでも利用できるように、
インターネット上のサーバを利用してソフトウェアを利用する形態を指す。
従業員満足度調査(ES調査)とは、従業員が仕事内容、人間関係、職場環境につき、
どの程度満足しているかを測る調査であり、そのES調査には未対応です。
別途、ESシートによる調査は信頼関係の構築後に実施し公開できる状況での実施が望ましく
隠れて調査していることこそ、信頼関係にヒビが入ることを考えなければなりません。
中小企業の現状からは
クラウドNo、効率No、そして組織成長や業務効率化による「使い捨て」No
人材の「使い捨て」から、再び「人材の再活性化」を目指したい経営者へ提供します。
*注釈 本講では、従来からレーティング(格付け)を行う人事考課という言葉を廃し、
教育的人事評価活動へと再構築したため、「人事評価制度」の名称で統一した。
以降、従来の人事考課活動を本文中では「評価活動」の範囲に含み、フィードバック面談を通じた成長する人財を支援するツールとしては「人事評価制度」および「評価活動」の名称を使用します。

-導入ご検討の方へ(お気軽にお問合せ下さい)

最適な人材配置は実は「人材管理」ではなく「組織化に根差した人財化」によって実現。
私たちTNCと共に、本当に「人を育てる」組織が使いたい教育的人事評価制度設計を実現していきましょう。